公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「もしかして、すごくご迷惑をおかけしたとか?」

 尋ねたくないし、知りたくもない。

 正直、この話題は打ち切りたい。

 自分で言いだしておきながら、彼らの表情を見るとこれ以上の話はタブーであることがよくわかる。

 だけど、知らなければならない。

 姉がなにをし、なにをしなかったのか。彼らの口からきかなければならない。

「お願いです。なにがあったか、教えてもらえませんか?」

 そう懇願した自分の声は、ひどく震えを帯びていた。
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