公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「そんなこと、レディのすることではないと思いますが。ねぇ、閣下?」

 イーサン。あなた、可愛らしい顔でなんてことを言いだすの?

 彼がブレントンの銀仮面をわずかに見上げている。

 顔だけでなく背丈も可愛らしい彼は、いつもブレントンを見上げている。

「ふつうのレディにはタブーな行為も、ミユならオーケーだ」

 さすがはブレントン。イーサンが同意を求めても即座に否定してくれた。

「はいはい。尋ねたぼくが悪かったですよ」

 イーサンは、そのブレントンのすっきりはっきりきっぱりな答えに満足している。
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