公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

「奥様も旦那様もおやめくださいっ」

　ジリアンに一喝され、ブレントンと二人で姿勢を正してしまった。

「旦那様。奥様は、ウインズレット公爵家の正統な夫人なのです。たとえまだ王家に認められていなくても、事実上間違いないのです。今回のパーティーは、その奥様のお披露目のようなもの。公爵家の為にも旦那様の為にも奥様ご自身の為にも、王族はもちろんのこと参加者全員を唸らせるような貫禄を見せつけなければならないのです。旦那様が懸念されていることは、旦那様ご自身でどうにか出来ることではありませんか？　旦那様が、そんなもろもろのくだらない男性たちよりも魅力的であればいいだけのことです。その上で、奥様に言いよる男性たちから奥様を守り、奥様を大切にしているところを見せつければいいのです」