公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「継ぐべき伯父たちは、最後の戦争でことごとく戦死しました。まだ結婚もしていない青年のときにです。つまり、グッドフェロー侯爵家の嗣子はいなくなったわけです。父は、責任を感じたようです。当時のウインズレット将軍の部下だったのですから。将軍とともに、何度もグッドフェロー侯爵家に謝罪に訪れたそうです。父はその際に母と出会い、あっという間に恋に落ちて……」
「嘘よ」

 イーサンにかぶせ、決めつけた。

 だってそうでしょう?

 グッドフェロー侯爵家のご令嬢が「兄たちを殺したわね」、と責めまくることはあるかもしれない。だけど、あのボスと恋に落ちるなんてことはあるわけがない。
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