公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「わかった。そうしておこう」

 宰相は、苦虫をかみつぶしたような顔をしている。

「行くぞ」

 宰相はイーサンに色目を使っているぽんこつ息子に吐き捨てると、踵を返してわたしたちの前から去ってしまった。
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