公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「密書だ。奴から受け取った密書を紛失しているんだ。それはおれの失態なので、だれにも言わなかった。おれだけが知っている。だから、密書がなくても状況によってはそれをちらつかせておまえたちに交渉を持ちかけようとした。そのことを、一番信頼する部下に話をした。尋問中の牢屋でのことだ。それを裏切者が盗み聞きしたようだ」
「ああ、おれの暗殺をほのめかすような内容の? それなら、すでに入手しているぞ」
「なんだって?」

 ジェロームはショックを受けたようだ。

 まさか彼と気の合った姉が盗み出していただなんてとても言えそうにない。
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