公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「奥様、お目覚めになりましたか?」

 どうやら寝坊してしまったらしい。

 姉のことであれこれ思い悩み、心を砕いていたわりには、深い深い眠りについてしまっていた。

 言い訳をするつもりはないけれど、寝台の寝心地が神がかり的に素晴らしすぎる。これは、人間をダメにする禁断の寝台。

 その魔力に抗えるわけもない。

 というわけで、すっかり眠ってしまっていた。

 何度も様子を見に来てくれたに違いない。彼女に悪いことをしてしまった。
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