公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「そうよ。あの『ちんちくりん』よ。文句ある?」
「わお! 驚いた。化けるもんだな。これだったら、姉貴に負けていないではないか?」

 ジェローム。あなた、いったいなんなの? この前はあれだけひどいことを言ったり笑いものにしてくれたのに、今度は持ち上げるわけ?

 ブレントンに庇護を求めてそれがかなったとはいえ、あからさますぎやしないかしら?

「化けてやしない。彼女は、もとから可愛らしすぎるのだ。おまえの目が節穴なだけだ。ほら、さっさと行け」

 ブレントンが怒鳴ると、ジェロームは両肩をすくめつつわたしにウインクをした。それから出て行った。
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