公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「ミユ、疲れただろう?」

 室内は月光に満ち溢れている。

 ブレントンは、わたしの肩に腕をまわしてわたしをいとも簡単に引き寄せた。

「そうですね。着慣れないドレスに気を遣ってしまいます」
「屋敷に帰ったら、すぐに休むといい」
「はい。ですが、ブレントン様。これからどうされるのですか?」
「いまはまだ何も思いつかない。だが、どうにかしなければならない。ミユ。もしかすると、きみに危害が及ぶかもしれない。だが、命にかえても守る。このことがいつ終わるか、正直わからない。だが、終わったら婚儀をしよう。パーティーを開いて、きみのご近所さんたちを招待するんだ」
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