公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「ブレントン様、どうか無茶はなさらないでください。わたしは、あなたになにかあれば生きていても仕方がないのですから」
「ミユ……。いまなら二人っきりだ。外してもいいよな?」

 彼は、右の人差し指で銀仮面を突っついた。

「もちろ……」

 答え終わるまでに唇が彼のそれによってふさがれていた。

 熱く長い口づけに、うっとりとしてしまう。銀仮面ははずしてくれたので、それが顔にあたって痛いということもない。
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