公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 そんなことを思いつつ、とりあえず顔を洗ってから服を着替えた。

 姉の服はことごとく動きにくいものばかり。だから、自分が持って来た着古したシャツとズボンに着替えた。

 生地が擦り切れたりほつれたりしているけれど、きれいに洗濯はしている。

 身繕いしている間、ジリアンはテキパキとベッドメイクをし、室内を片付けてくれている。

「朝食をお持ちしますね」
「あ、いいの。あなたはまだでしょう?」

 たしか、朝の仕事が終わってから休憩をとると言っていた。そのときに朝食を食べるのだとも。
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