公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 酒場で知り合ったゴロツキにだまされ、投資に手をだしてしまった。結果、殺されるとか獄に繋がれるとかのレベルの負債を背負ってしまった。

 その噂はあっという間に広がってしまう。落ちぶれてはいるものの、爵位は剥奪されていない。今度こそは爵位剥奪の上国外追放、あるいは強制労働や収監だと騒がれた。

 姉は、そのときにはそれぞれ助けてくれている貴族の屋敷で雑用をさせてもらっていた。そして、わたしは街で通称「何でも屋」といういかにもな会社で働いていた。

 お金に換えることの出来るような物はすべて売り払った殺風景な屋敷内で、姉と二人で覚悟を決めなければならなかった。

 そんなとき、手を差し伸べてくれた奇特な人がいた。
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