公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 そういうわけで、わたしにはある程度のスキルが身についている。

 出来れば、公爵が戻ってくるまでの短期間の内に調査を終えたい。

 姉がどうなっていたのか。あるいは、なにをどうしていたのかを知りたい。

 久しぶりに街を駆けまわれる。

 なぜかうれしくなった。現役時代には、そんなことあまりなかったのに。他人の秘密を探ったり暴いたりするなんて卑しすぎる。そう卑下していた仕事なのに、なぜかイキイキとしている自分がいる。

 そんな自分自身に戸惑いながらも街に出た。
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