公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 一応、男爵令嬢としてのマナーや習慣というものはある程度知識として備わっている。だけど、いかんせん経験がない。社交界にデビューすらしていなかった。

 彼は、わたしが名ばかりの男爵令嬢だと知ってがっかりしたに違いない。

 もちろん、わたしの前でそういうことはおくびも見せないけれど。

 とにかく、わたしは「何でも屋」で雇ってもらった。

 そして、彼からあらゆることを叩きこまれた。

 正直、仕事は大変だった。男性でも体力や気力が尽きてしまう。いくらわたしが体力バカでも、男性には負けてしまう。
 暴力が日常的だということもある。
< 54 / 356 >

この作品をシェア

pagetop