公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「それで、急にどうしたんだ?」

 ボスが尋ねてきた。

 その瞬間、「やっぱり、迷惑よね」と思った。しかし、いまさら「なんでもないわ」と出て行くわけにはいかない。

 ボスだけでなく、エドモンド兄弟にもずいぶんとよくしてもらっていた。

 この三人なら家族よりも信頼出来る。正直に話そう。

 そう思い直した。

 だから、包み隠さず話をした。話をした上で、調査の為に縄張りをウロウロすることを許可してほしいとお願いをした。

 三人は、わたしの話を辛抱強くただ黙ってきいてくれた。

 昔からそう。わたしのどんなくだらない話でもただ黙ってきいてくれたし、いっしょに笑ったり怒ったり泣いたりしてくれた。

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