公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「ミユ。世の中には真実を知らない方がいい場合がある。あるいは、そっとしておく方が賢明なときがある。以前、おまえに何度も言っただろう?」
「ええ、ボス。わかっているわ。だけど、姉のことを何も知らないことに気がついたの。知らなさすぎて怖いのよ。姉は、いったいどんな人だったのか? なにをして、なにをしなかったのか。いまさらだけど、知っておかなければならない気がするの」
「ウインズレット公爵は、おまえを屋敷に置いて養ってくれるのだろう? だったら、彼の気がかわって屋敷を放り出されるまで遠慮なく世話になればいい。司書をしながら、のほほんとスローライフを楽しめばいいではないか」
ボスの言う通りかもしれない。
姉のことを無理矢理調べ、知りたくもないことを知る必要などどこにもない。
ウインズレット公爵も、姉を亡くした傷はいつか癒えるでしょう。時間がすぎれば、もしかしたら彼もまともな貴族令嬢を妻に迎えようという気になるかもしれない。
わたしは、そのときがくるまで公爵の「お飾り妻」としてお気楽に暮らせばいい。
だけど、ほんとうにそれでいいかというといいわけがない。
「ええ、ボス。わかっているわ。だけど、姉のことを何も知らないことに気がついたの。知らなさすぎて怖いのよ。姉は、いったいどんな人だったのか? なにをして、なにをしなかったのか。いまさらだけど、知っておかなければならない気がするの」
「ウインズレット公爵は、おまえを屋敷に置いて養ってくれるのだろう? だったら、彼の気がかわって屋敷を放り出されるまで遠慮なく世話になればいい。司書をしながら、のほほんとスローライフを楽しめばいいではないか」
ボスの言う通りかもしれない。
姉のことを無理矢理調べ、知りたくもないことを知る必要などどこにもない。
ウインズレット公爵も、姉を亡くした傷はいつか癒えるでしょう。時間がすぎれば、もしかしたら彼もまともな貴族令嬢を妻に迎えようという気になるかもしれない。
わたしは、そのときがくるまで公爵の「お飾り妻」としてお気楽に暮らせばいい。
だけど、ほんとうにそれでいいかというといいわけがない。