公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 公爵家から放り出されて居場所がなくなったら、一人暮らしなんてどうかしら。そうね。一人で暮らせばいいじゃない。

「何でも屋」の事務所の奥の部屋が空いているみたいだし、ボスに頼んで安く借りれるよう口をきいてもららえばどうかしら。

 そうすべきよ。

 そう思いつくと、気分が高揚してきた。

 正直、このまますぐにでも移りたい気分である。

 そんなことを考えていると、ウインズレット公爵邸の立派な門が見えてきた。

 馬車道をテクテク歩きながら、木々の間にボーッと浮かんでいる建物を見つめる。
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