公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
 だとすれば、屋敷内にいる使用人たちは? もしや、彼にすでに殺されている?

 だったら、きっとわたしだってチョチョイのチョイね。

 やっと厨房内の明るさに目が慣れてきた。

「なんなのこの子? 可愛いじゃない」

 おもわずつぶやいてしまった。

 少年が立っている。その少年は容姿に似つかわしくなく、剣をわたしの喉元に突きつけている。

 一瞬の間に彼を上から下まで観察した。

 背は、少年にしては高めかしら? レディでは低い方のわたしより少し高いくらいね。

 あざやかな赤毛を刈り上げている。

 そういえば、ウインズレット公爵もブロンドの髪を刈り上げているわよね。
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