公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「気にしていません。たしかに、コソコソしていましたからわたしも悪かったのです」
「奥様、おケガがなくてよかったです。この者は、イーサン・グッドフェロー大佐です。軍では公爵閣下の片腕で、プライベートでは執事を務めています」
「ええっ? もしかして、モーリスさんが言っていた公爵のもう一人の執事? この可愛らしい少年が?」

 驚かざるを得ない。

 叫んでしまってから、ハッと気がついた。

 可愛らしい少年って、すごく失礼なことを言っているわよね?

 そのことに気がついたからである。

 ハミルトンが笑い始めた。それはもう心底可笑しいというような豪快な笑い方をしている。
< 83 / 356 >

この作品をシェア

pagetop