公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

公爵閣下登場

「ミユ・ギャラガー、いえ、ミユ・ウインズレットです。あの、みなさんは気を遣って下さって『奥様』と呼んでくれていますが、じつは違うのです」

 イーサンにほんとうのことを言っておかないと。

「ええ。ですが、事情はどうあれ奥様は奥様ですから」

 そのとき、イーサンの童顔にやわらかい笑みが浮かんだ。

「何かお困りごとはございませんか? ああ、先程あなたを困らせておきながら、こういうことを尋ねるのもおかしいですね」

 彼は、緊張をほぐすかのようにおどけた。
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