公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね
「奥様、もう一人分忘れていますよ。トレイに乗りますよね?」
「あら? わたしはあなたといっしょに食べるわ」
「ダメダメ。公爵閣下がせっかく国境でのゴタゴタを早々に解決して戻ってこられたのです。いっしょにすごされるべきです」

 ハミルトンはわたしに反論の機会を与える間を与えず、サンドイッチとティーセットをトレイに乗せてきた。それから、追い出されるようにして厨房から出されてしまった。

 仕方がない。紅茶が冷めてしまうし、とりあえず公爵に届けよう。

 諦めて二階へと上がった。
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