きみのチョコに毒混ぜた


「テスト内容教えて」

「しょうがないなぁ」



いつだって私はきみに甘い。
きみの上目遣いに勝てない。


その顔でいったい、何人の女の子を弄んでいるんだろう。



昔からモテる男だった。幼稚園のときに、クラスの女の子はみんな洸のことが好きだった。小学校の時にはチョコを50個くらい貰ってた。中学生になったら、先輩も洸のこと見るために下級生のクラスに来てた。


高校生になった今、彼女みたいで彼女ではない女の子がたくさんいる。そんな最低なきみに捉われるの、もうやめたいって思いながら、もう何年経ってしまっただろうか。




「もーすぐバレンタインじゃん。今年はチョコケーキがいい」



私のクラスではもう終わった数学の抜き打ちテストの内容をノートに書き写しながら、ついでみたいに口にする。



「当たり前にもらえると思わないでくれる?」

「でも、ちーは毎年くれるじゃん」

「.......」



それはそうだ。毎回、今年はもうあげない!と決めてはあげてしまっている。どんなに頑張って作ったとしても、たくさんもらうチョコレートの山の一角になるだけなのに。


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