鬼上官と深夜のオフィス
――


「こっちなんてあれからずっと佐久間君のこと、意識しちゃってるっていうのにっ!」

そして翌週金曜日の残業終わり。
先輩が顔を真っ赤にさせながら、俺を睨みつけている。
怒った顔をしているけれど、先輩、そりゃ好きだと告白してる様なもんですよ。

思わず顔がニヤついて、
「俺のこと、ちょっとは好きになっちゃいました?」
なんて軽口を叩けば、先輩からは「違う!」と想像以上の強い拒絶の声。

……違う?
違わないでしょ?
俺のこと、気になるんでしょ?
それって、結局、好きだってことでしょ?

先輩に、どうしても好きだって言ってほしくなり、急激に仄暗くドロドロとした執着心のようなものが胸に湧き上がってくるのを感じる。
俺は先輩に振り向いてほしくて、頼れる男だと思われたくて、がむしゃらに働いて営業トップの座を保持していると言うのに。
なんで先輩は俺のことを好きだって言ってくれないのだろう。


……だったら身体からオトすまで。

やり場のないない憤りを胸に秘め、背後から先輩を抱きしめる。舌でその肌をペロリと舐め、柔らかな胸を揉みしだき、頂を摘めば甘やかな反応が返ってくる。

ね、先輩。好きでもない相手にこんなに可愛い反応するの?

違うよね?

ちょっとは俺の事好きだからこそ、気持ちよくなっちゃうんだよね?

祈る様な気持ちで先週同様乱れる先輩を更に追い立てる。もう、俺の事しか考えられない様にしてあげたい。
ぐちゅぐちゅに蕩かして、快楽の虜にしてあげたい。

……けれど先輩はギリギリのところで踏み留まった。

< 20 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop