鬼上官と深夜のオフィス
――
「ハイっ手を休めない!手を動かしてれば、いつかは終わるんですからね!」
人がどんどん少なくなっていくオフィスにて、本日も軍隊さながら無駄の無いテキパキとした効率の良い作業を要求してくる佐久間君。気が緩みがちな残業時間でさえも、フルパワーでの作業をせよとなんとも鬼畜なご命令。
相も変わらず会社大好き仕事の鬼の、この作業パートナーを、私は密かに色々な意味を含めて「鬼上官」と呼んでいた。
「はいはい、イエッサー!」
心の中で一兵卒さながらのイイ返事で、鬼上官のご指示に従う私であるが、ワシワシ書類作成しながらも、気がかりなのは明日の約束についてだった。
軽率にデートの約束なんて取り付けてみたけれど、あのアプリはまがりなりにも『婚活』の名を語っている。自分がどうしたいか、どうなりたいのか将来のビジョンが不明なまま、なんとなく出会いを求めるのは相手に失礼ではないのだろうか。
そんなことを考えてしまえば慣れた仕事に手は動くものの、心は遥か遠くに飛んでいってしまうのだった。
「ハイっ手を休めない!手を動かしてれば、いつかは終わるんですからね!」
人がどんどん少なくなっていくオフィスにて、本日も軍隊さながら無駄の無いテキパキとした効率の良い作業を要求してくる佐久間君。気が緩みがちな残業時間でさえも、フルパワーでの作業をせよとなんとも鬼畜なご命令。
相も変わらず会社大好き仕事の鬼の、この作業パートナーを、私は密かに色々な意味を含めて「鬼上官」と呼んでいた。
「はいはい、イエッサー!」
心の中で一兵卒さながらのイイ返事で、鬼上官のご指示に従う私であるが、ワシワシ書類作成しながらも、気がかりなのは明日の約束についてだった。
軽率にデートの約束なんて取り付けてみたけれど、あのアプリはまがりなりにも『婚活』の名を語っている。自分がどうしたいか、どうなりたいのか将来のビジョンが不明なまま、なんとなく出会いを求めるのは相手に失礼ではないのだろうか。
そんなことを考えてしまえば慣れた仕事に手は動くものの、心は遥か遠くに飛んでいってしまうのだった。