鬼上官と深夜のオフィス

アラサー女子は絆される

帰宅後明日に備えてさっさと寝ようとベッドに入るも、結局いつまでも彼の顔と言葉(と、致した行為)は、忘れるなんてことできるはずがない。
その映像が頭から離れないばかりか、佐久間君の熱い吐息と唇の感触がまだあちこちに残る気がしてならない。

眠りは浅く、ウトウトしてはハッと目が覚めるの繰り返し。
そんな訳で充分な休息なんてできるはずもないのだった。

ーー

そして翌日。
結局寝不足なものだから、頭はポンコツのままである。
そんな状態で出社したものだから、作業は全く身に入らない。

一方の佐久間君の様子と言えば、まさかまさかの通常運転。

気まずさに恐る恐るオフィスのドアを開けた私に「先輩遅い!早く仕事して下さい!」と一喝するとすぐに資料に目を戻す。

「昨日?何かありましたっけ?」と言わんばかりで、何事も無かったかのような見事なまでの仕事っぷり。

それに比べて1人作業効率の悪い私は、鬼上官から「作業が遅い!」「書類記載ミスが多い!」とギャンギャンと怒られながら追い立てられ、半べそになりながらワシワシ書類を作成する羽目になるのだった。

あれ?
この人昨日私に好きだって、告白してきた人じゃなかったんだっけ?
好きな人に対する態度にしては、なんか対応厳しすぎじゃない?
それとも昨日のアレは、残業の疲れが見せた夢だった??

夢?いやー夢じゃないよなあ?
だってご無沙汰ぶりに致しちゃったせいで、身体のあちこちに未だ妙な違和感が残っているし……。

頭の中は「?」マークで一杯ながら、結局その日は作業が終了し、「それではまた来週」なんてそのまま解散となったのだった。

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