短編集
自律神経失調症
再発って面倒なもので、油断してるといつの間にかやって来る。
前に発症した時の事を彼は知らなくて、今日は病院に行くという事だけメールで伝えていた。
「ただいま」
『おかえり』
帰ってくるなり眉を下げて私に近づく彼。
「今日病院行ったんだよな?」
『あ、うん』
「体調悪いの?ごめん俺気付かなくて」
『待って、違うの』
どう説明すれば良いのか、分からなかった。
「自律神経失調症⋯」
『そう、再発して。耳鳴りとか胸のざわざわ感とか、が酷くて』
「治るの?原因とかは?」
ゆっくりと説明していく。まるで自分の事の様に、その間ずっと彼は泣きそうだった。
「俺に出来る事は何でもやるから」
『ありがとう』
あぁ、良い彼氏を持ったなぁ。ストレスどころじゃ無いじゃん。
『輝依のお陰ですぐ治りそう』
そう言えば、ほっ、と幾分か表情が柔らかくなった。
「絶対無理すんなよ、眞紀は真面目すぎるから」
愚痴っていいし、手抜いていいんだからなって手を握って真剣に言われる。
「いつも頑張ってるのちゃんと分かってるから、俺の居る時は頼れよ」
輝依だって毎日大変そうなのに。
と思ったけど、口に出すと反論されちゃうから
『わかった』
って返事をした。
「よし、いい子」
って頭を撫でられる時間は、何だか久々で心地よかった。