さよなら、真夏のメランコリー
そういえば、さっきからプールに向かう人たちとすれ違っているけれど、あまり気に留めていなかった。
この遊園地には、夏だけ営業しているプールがある。
夏休みの今は家族連れや学生らしき人たちが、プールに行くんだとわかる姿で歩いている。
子どもが浮き輪やゴーグルを持っていたり、フリーパスを持たずにプールの方面に向かっていたり。そういう人たちがとても多い。
この猛暑日の中、むしろアトラクションで遊んでいる人の方が少数派だろう。
もう選手としては泳げないとわかった時には、水着やゴーグル、浮き輪を見ることすら嫌で、テレビでプールが映っただけでも過剰に反応していた。
にもかかわらず、今日は笑ってばかりでちっとも気になっていない。
もしかしたら、これも輝先輩と一緒にいるからなんだろうか……。
「美波?」
なんて考えていると、彼に顔を覗き込まれた。
「へっ……?」
肩が小さく跳ね、思わず動揺をあらわにしてしまう。
「疲れた? それとも、体調悪くなった?」
「へ、平気……!」
「そう?」
様子を窺うような視線を受け、慌てて「うん」と頷く。
輝先輩は納得していないのか、レストランやファーストフードが食べられる建物の方を指差した。
「ご飯のついでに室内で休憩するか。さすがに外にずっといるから暑いし、ちょっと涼もう」
「そうだね」
すぐさま彼の意見に同意して、飲食エリアに向かう。
輝先輩のことを考えていたのは、彼本人には気づかれていないようでホッとした。
この遊園地には、夏だけ営業しているプールがある。
夏休みの今は家族連れや学生らしき人たちが、プールに行くんだとわかる姿で歩いている。
子どもが浮き輪やゴーグルを持っていたり、フリーパスを持たずにプールの方面に向かっていたり。そういう人たちがとても多い。
この猛暑日の中、むしろアトラクションで遊んでいる人の方が少数派だろう。
もう選手としては泳げないとわかった時には、水着やゴーグル、浮き輪を見ることすら嫌で、テレビでプールが映っただけでも過剰に反応していた。
にもかかわらず、今日は笑ってばかりでちっとも気になっていない。
もしかしたら、これも輝先輩と一緒にいるからなんだろうか……。
「美波?」
なんて考えていると、彼に顔を覗き込まれた。
「へっ……?」
肩が小さく跳ね、思わず動揺をあらわにしてしまう。
「疲れた? それとも、体調悪くなった?」
「へ、平気……!」
「そう?」
様子を窺うような視線を受け、慌てて「うん」と頷く。
輝先輩は納得していないのか、レストランやファーストフードが食べられる建物の方を指差した。
「ご飯のついでに室内で休憩するか。さすがに外にずっといるから暑いし、ちょっと涼もう」
「そうだね」
すぐさま彼の意見に同意して、飲食エリアに向かう。
輝先輩のことを考えていたのは、彼本人には気づかれていないようでホッとした。