さよなら、真夏のメランコリー
エアコンの稼働音。
時折、家の前を通る人の足音や声。
静かな部屋にはそんな音がよく聞こえる。
「美波? 全然進んでないぞ」
「えっ……? あっ……」
ふと顔を上げると、輝先輩が苦笑していた。
ローテーブルで向かい合う私たちの距離は、とても近い。
「なに? バイト疲れ?」
「そう、かも……」
「でも、今日はそこそこ頑張らないと、次のデートも課題になるだろ」
「デート……」
ドキドキしている私の心臓が、〝デート〟という言葉に撃ち抜かれる。
(そっか……。デート、なんだ……)
今まではただの勉強会だった時間が、恋人になった途端にデートになる。
彼氏と彼女って、たぶんそういうこと。
初恋の経験もろくにない私に反し、彼は余裕そうに笑った。
二度目の輝先輩の部屋は、前に来た時よりもずっとドキドキした。
匂い、物、雰囲気。
男の子っぽい、モノトーンカラーの部屋。
彼の気配が濃すぎて、勝手に鼓動が暴れてしまうのだ。
「そんなに緊張しなくてもなんもしないって」
「え? しないの?」
「は?」
思わず食い気味に尋ねた直後、自分が発した質問の意味に気づいてハッとする。
頬がボッと熱くなる私とは裏腹に、輝先輩が眉を下げた。
時折、家の前を通る人の足音や声。
静かな部屋にはそんな音がよく聞こえる。
「美波? 全然進んでないぞ」
「えっ……? あっ……」
ふと顔を上げると、輝先輩が苦笑していた。
ローテーブルで向かい合う私たちの距離は、とても近い。
「なに? バイト疲れ?」
「そう、かも……」
「でも、今日はそこそこ頑張らないと、次のデートも課題になるだろ」
「デート……」
ドキドキしている私の心臓が、〝デート〟という言葉に撃ち抜かれる。
(そっか……。デート、なんだ……)
今まではただの勉強会だった時間が、恋人になった途端にデートになる。
彼氏と彼女って、たぶんそういうこと。
初恋の経験もろくにない私に反し、彼は余裕そうに笑った。
二度目の輝先輩の部屋は、前に来た時よりもずっとドキドキした。
匂い、物、雰囲気。
男の子っぽい、モノトーンカラーの部屋。
彼の気配が濃すぎて、勝手に鼓動が暴れてしまうのだ。
「そんなに緊張しなくてもなんもしないって」
「え? しないの?」
「は?」
思わず食い気味に尋ねた直後、自分が発した質問の意味に気づいてハッとする。
頬がボッと熱くなる私とは裏腹に、輝先輩が眉を下げた。