さよなら、真夏のメランコリー
誰かに恋をしたのも、恋人ができたのも、生まれて初めてのこと。
だけど、なにかを求めていた双眸が〝なにを求めているのか〟わからないほど、たぶん私は無知じゃない。
花火の音のようにドキドキと響く拍動。
世界にふたりだけが取り残されたような静けさ。
夏の風が私たちを包んで、恋心だけを剥き出しにしていく。
私よりずっと背の高い体が屈められ、私たちの距離がグッと縮まった。
「っ……」
沈黙の中、輝先輩の顔がゆっくりと近づいてくる。
息を呑み、端正な顔に見入りそうになって。それでも、咄嗟に目をギュッと閉じる。
瞼を下ろす直前、私の視界に移ったのは今夜の三日月みたいな金色の髪。
刹那、唇に柔らかな体温が押し当てられた。
重なったのは、きっと彼の唇。
目を開ける勇気はなかったけれど、そうだとわかった。
「美波」
優しく呼ばれて、恐る恐る瞼を開けてみる。
すると、輝先輩が私を見下ろしていた。
お互いに照れくさいのが伝わって、うるさいくらいの心臓が今にも飛び出してしまいそうで。
それなのに、彼がもう一度顔を近づけてくると、私は静かに瞼を閉じていた。
二度目のキスは、甘くて優しくて。触れた唇の熱に、思考が溶けていく。
輝先輩と付き合って、今日で一ヶ月。
胸を甘く締めつける想いが夏の匂いを巻き込んで、もっと大きく膨らんでいった。
だけど、なにかを求めていた双眸が〝なにを求めているのか〟わからないほど、たぶん私は無知じゃない。
花火の音のようにドキドキと響く拍動。
世界にふたりだけが取り残されたような静けさ。
夏の風が私たちを包んで、恋心だけを剥き出しにしていく。
私よりずっと背の高い体が屈められ、私たちの距離がグッと縮まった。
「っ……」
沈黙の中、輝先輩の顔がゆっくりと近づいてくる。
息を呑み、端正な顔に見入りそうになって。それでも、咄嗟に目をギュッと閉じる。
瞼を下ろす直前、私の視界に移ったのは今夜の三日月みたいな金色の髪。
刹那、唇に柔らかな体温が押し当てられた。
重なったのは、きっと彼の唇。
目を開ける勇気はなかったけれど、そうだとわかった。
「美波」
優しく呼ばれて、恐る恐る瞼を開けてみる。
すると、輝先輩が私を見下ろしていた。
お互いに照れくさいのが伝わって、うるさいくらいの心臓が今にも飛び出してしまいそうで。
それなのに、彼がもう一度顔を近づけてくると、私は静かに瞼を閉じていた。
二度目のキスは、甘くて優しくて。触れた唇の熱に、思考が溶けていく。
輝先輩と付き合って、今日で一ヶ月。
胸を甘く締めつける想いが夏の匂いを巻き込んで、もっと大きく膨らんでいった。