さよなら、真夏のメランコリー
意地悪なことを言われたりからかわれたりもするけれど、輝先輩のおかげでちゃんと笑えるようになった。
あんなにもボロボロだった心が、彼と過ごす時間で少しずつ癒されていっている。
真菜やバイト仲間のおかげでもあるけれど、やっぱり一番は輝先輩の存在が大きい。
ただ、彼にはまだこのことを伝えられていないから、いつか言えたらいいな、と思う。
(これ、喜んでくれるかな)
自然と微笑んでいた私は、スカートのポケットに忍ばせていた白い袋を出す。
中身は、昨日の放課後に学業にご利益があるという神社に駆け込んで買った、学業成就のお守りだ。
しっかりお参りもして、輝先輩の受験が上手くいくようにお祈りしてきた。
もっとも、彼はまだ進路に悩んでいるみたいだけれど。
人の心配をしている場合じゃないのに、輝先輩の進路のことばかり考えてしまう。
「輝さー、まだ美波ちゃんに話してないんだろ?」
彼のクラスの前に着くと、聞き覚えのある声が耳に届いた。
自分の名前が出てきたことで、反射的にドアの手前で足を止めてしまう。
「……まぁ」
「さすがに言った方がよくないか? このまま話さないわけにはいかないだろ?」
輝先輩と話しているのは、宮里先輩のようだった。
あんなにもボロボロだった心が、彼と過ごす時間で少しずつ癒されていっている。
真菜やバイト仲間のおかげでもあるけれど、やっぱり一番は輝先輩の存在が大きい。
ただ、彼にはまだこのことを伝えられていないから、いつか言えたらいいな、と思う。
(これ、喜んでくれるかな)
自然と微笑んでいた私は、スカートのポケットに忍ばせていた白い袋を出す。
中身は、昨日の放課後に学業にご利益があるという神社に駆け込んで買った、学業成就のお守りだ。
しっかりお参りもして、輝先輩の受験が上手くいくようにお祈りしてきた。
もっとも、彼はまだ進路に悩んでいるみたいだけれど。
人の心配をしている場合じゃないのに、輝先輩の進路のことばかり考えてしまう。
「輝さー、まだ美波ちゃんに話してないんだろ?」
彼のクラスの前に着くと、聞き覚えのある声が耳に届いた。
自分の名前が出てきたことで、反射的にドアの手前で足を止めてしまう。
「……まぁ」
「さすがに言った方がよくないか? このまま話さないわけにはいかないだろ?」
輝先輩と話しているのは、宮里先輩のようだった。