さよなら、真夏のメランコリー
「俺、こいつの友達の宮里圭太(みやざとけいた)。圭太先輩って呼んでね」


どこか軽い雰囲気の圭太先輩に、真菜が「はーい」と返事をして自己紹介をする。
私を余所に、三人は笑顔を向け合っていた。


「美波、それ食わないの?」

「だ、だって……」

(か、間接キス……!)

「お腹いっぱいで!」


うっかり赤くなりそうだった頬をごまかすように、大声で返してしまう。


「じゃあ、残りもちょうだい。代わりに明日なんか奢るから」

「えっ……?」


私が見上げようとするよりも早く、輝先輩がクレープをかじる。
彼は、そのまますぐに食べ切ってしまった。


「ごちそうさん」


輝先輩がにこっと白い歯を見せ、私の様子を窺うようにしたあとで瞳を緩める。
次の瞬間、骨ばった手が頭の上に置かれ、ポンポンと撫でられた。


「な、なにっ!?」


大袈裟なくらいの反応を見せる私に、彼は優しい眼差しを向けてくる。

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