さよなら、真夏のメランコリー
「別に。……明日の放課後、昨日の場所に集合な」

「は……?」

「じゃあな」


輝先輩は勝手に決めてしまうと、圭太先輩に「行こう」と言って歩き出した。


「昨日の場所ってなんだよ?」

「圭太には関係ないだろ」

「うわ、なんかやらしー」


遠のいていく会話を聞きながら、呆然とすることしかできない。
そんな私の視界が、不意に真菜の顔でいっぱいになった。


「わぁっ……!」


彼女はにんまりと目と口元を緩めていて、なにを言いたいのかすぐにわかった。


「美波~」

「な、なに……?」

「夏川先輩といつから仲いいの? 昨日の場所ってどこ? あの頭ポンポンはいったいなに!?」

「知らない! なんでもない! 仲良くない!」

「知ってるでしょ? なにかあるんでしょ? 頭ポンポンは仲良しでしょー?」


勢いだけで返事をした私に、真菜の攻撃は緩まない。


「おっ、いいタイミングでカラオケの部屋が空いたみたい。話はそこで聞こうっと」


スマホの通知を確認した彼女は、クレープ屋で並んでいる間にアプリでカラオケルームの予約を入れてくれていた。


ちょうど順番が回ってきたらしく、真菜に腕を引っ張られてしまう。
スキップでもしそうな雰囲気の彼女の後ろ姿だけで、私に拒否権なんてないのは明白だった。

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