さよなら、真夏のメランコリー
カラオケボックスに入って、十五分。


「だから、輝先輩と話したのはたまたまっていうか……」


ドリンクバーからドリンクを取って部屋にこもると、私は結局逃げ切れなかった。
事の一部始終を話すはめになり、諦めて一昨日と昨日のことを白状した。


そのためには、部活での出来事や私が泣いたことも言わざるを得なくて……。最後に、真菜は申し訳なさそうに眉を下げた。


「ごめん……。事情は知らなかったとはいえ、話したくなかったよね……」

「ううん、いいよ」


笑みを浮かべ、首を横に振る。


彼女はずっと、一昨日のことも昨日のことも訊いてこなかった。
私が退部届を出したことも、昨日は部活に顔を出したことも知っているのに、あえて触れずにいてくれた。


それが真菜の優しさだとわかっているからこそ、嫌な気持ちになったりはしない。


「真菜にはいつか部活のことは話さなきゃって思ってたし……。心配してくれてたのに、むしろ私から言えなくてごめんね」

「ううん……。そんなの言いづらいに決まってるよ」


彼女が私の心を慮るように俯く。

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