さよなら、真夏のメランコリー
ふたりだけの密室のせいか、空気がどんどん重くなっていく。
昨日の嫌な出来事に責め立てられる気がして、息が苦しくなりそうだった。


「でも……その一年、ムカつく! 美波と仲良かったわけじゃなくても、部員なんだから……」


そこで言葉に詰まった真菜が、なにを言わんとしているのかはわかる。
『そんなこと言わなくてもいいのに』といったところだろう。


「でも……悪気はなかったんだと思う……」


未恵の言葉に心をえぐられたのは、事実だ。
だけど、彼女に悪気がなかったことくらい、冷静になった今はわからないわけじゃなかった。


きっと、私に憧れていて……。憧れの人に会えた喜びと興奮が先立っただけ。
もちろん、悪気がなければなにを言ってもいいわけじゃないし、やっぱりまだ許せなかったけれど。


「無神経すぎるよ……! 私がその場にいたら殴ってやった!」


涙目の真菜に、眉を下げる。


私の分まで怒ってくれている。
そんな彼女の優しさに、深い傷を刻まれた心が少しだけ癒されていく。

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