さよなら、真夏のメランコリー
二章 憂鬱な夏
一 慣れない時間
翌日は雨だった。
輝先輩との約束は気になったけれど、第三倉庫の裏には雨除けがない。
さすがに彼は待っていないだろうと考えながら昇降口に向かい、そのまま帰るつもりだった。
「お、美波!」
だけど、私の行動を読むように、昇降口に輝先輩が立っていた。
「なんで……」
「雨が降ってるから帰りそうだなと思って」
彼は「予想通りだった?」と苦笑して、私を見下ろす。
「ちゃ、ちゃんと行くつもりだったし」
「マジかよ? でも、俺らってお互いの連絡先も知らないじゃん。不便だし、美波のライン教えてよ」
「えっ?」
「これ、俺のね」
戸惑っている間に、QRコードを表示させたスマホを向けられる。
「いや、連絡先なんて別に……」
「知ってた方が便利だって。それとも、教室まで誘いに行った方がよかった?」
「それは嫌!」
反射で語尾がきつくなってしまい、慌てて口を閉じた。
「即答かよ」
輝先輩が肩を竦めて眉を寄せる。
だけど、彼は笑っていて、失礼な私の態度にも怒るようなことはなかった。
輝先輩との約束は気になったけれど、第三倉庫の裏には雨除けがない。
さすがに彼は待っていないだろうと考えながら昇降口に向かい、そのまま帰るつもりだった。
「お、美波!」
だけど、私の行動を読むように、昇降口に輝先輩が立っていた。
「なんで……」
「雨が降ってるから帰りそうだなと思って」
彼は「予想通りだった?」と苦笑して、私を見下ろす。
「ちゃ、ちゃんと行くつもりだったし」
「マジかよ? でも、俺らってお互いの連絡先も知らないじゃん。不便だし、美波のライン教えてよ」
「えっ?」
「これ、俺のね」
戸惑っている間に、QRコードを表示させたスマホを向けられる。
「いや、連絡先なんて別に……」
「知ってた方が便利だって。それとも、教室まで誘いに行った方がよかった?」
「それは嫌!」
反射で語尾がきつくなってしまい、慌てて口を閉じた。
「即答かよ」
輝先輩が肩を竦めて眉を寄せる。
だけど、彼は笑っていて、失礼な私の態度にも怒るようなことはなかった。