さよなら、真夏のメランコリー

二 予定のない日の過ごし方

七月に入ると、本格的に暑さが増した。


今年は五月に入る頃には気温が高かったけれど、やっぱり夏本番は一味違う。
猛暑日が続く日々に疲労感が溜まり、勉強にもなかなか身が入らなかった。


おかげで、期末テストはあまりいい結果になりそうじゃない。
もっと頑張らなかったことを少しだけ後悔しつつも、テストが終わった解放感を前にすると、そんなことはすぐに忘れた。


「美波―! お疲れ様!」

「真菜もお疲れ」

「もう帰るの?」

「うん。朝方まで勉強してたから、今日は昼寝したいし」

「いいなぁ、昼寝。私も委員会が終わったら、ダッシュで帰って寝ようかな。っていうか、一夜漬けって意味なくない?」

「ないね」

「だよね~。私も生物と日本史は一夜漬けだったから、もう全部忘れた」


真菜と笑い合いながら、帰り支度を進めていく。


「夏休みはどこか行こうね」

「うん、そうだね」

「楽しみだなぁ。美波と行きたいところ、たくさんあるんだよね」

「カラオケ?」

「それはもちろん! あとは、水族館とか遊園地……あっ、食べ歩きもいいなぁ」

「そんなにお金ないよ」

「確かに。やっぱりバイト増やそうかな」


彼女は、少し前からバイトの日を増やしたいと言っていた。
私も、輝先輩の話を聞いて興味が出てきたところ。


最近は、真菜とバイトについて話すことが多い。
もっとも、私も彼女も話をしているだけで、実行には移せていないけれど。

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