さよなら、真夏のメランコリー
高校でできた友達とは、以前のように接することができなくなった。


千夏のような水泳部員はもちろん、入学後に仲良くなった子たちだって私への態度が変わったからだ。
真菜だけが今まで通りでいてくれるけれど、彼女以外とは上手く話せなくなった。


中学までの友達も同じ。
みんな、私の水泳選手としての実績と選手生命を絶たれたことを知っているから、会う気にはなれなかった。


「予定のない日の過ごし方って、わからないものなんだね……」


今までは、ずっと泳いでいた。
明けても暮れても水の中にいるような生活。


インターハイを控えたこの時期は、特に練習に熱が入っていた。
だから、過ごし方がわからないなんてことはなかった。


朝起きて、部活やスイミングスクールに行って。帰宅後はほんの少しだけ夏休みの課題をこなして、まるで泥のように眠る。
毎日毎日、そんな日々の繰り返し。


夏休みなんて、あっという間に過ぎていった。
だけど、来週から始まる夏休みの予定は、今のところ空白だらけ。


いったいどんな風に過ごせばいいのかと思うと、途方に暮れるような気持ちにさせられた。

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