さよなら、真夏のメランコリー
「これで人前に出るんだよね……」

「そりゃあそうだよ。私たち、ホール担当だもん」

「変じゃない……?」

「全然! むしろ似合ってるよ! 輝先輩に見せてあげたいくらい!」

「なっ……! なんでそこに輝先輩が出てくるの!?」


真菜はわざとらしく「えへっ」と笑うと、私の手を引いて更衣室を出た。


「菜々緒さん、着替えましたー」

「じゃあ、とりあえず今日は私が説明するね。あ、その前に自己紹介か」


菜々緒さんの指示で、真菜は仕事をするためにホールへと行った。
私は、菜々緒さんに促されてホールやキッチンを回っていく。


その間に色々な説明を受けながら、持ち場にいるスタッフたちに挨拶をしていった。
持参したメモには、あっという間に書き込みが増えた。


「とにかくお客様への対応が最優先ね。料理は少しでも早く運ぶことと、注文は必ず繰り返して。あと、メニューについて質問されることが多いから、メニューに関することはできるだけ早く覚えてね」

「は、はい……!」

「うちは勤務時間が七時間を超えると賄いが出るから、順番に食べてみるといいよ。そうすればメニューのことも覚えやすいし。百聞は一見に如かずってね!」

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