さよなら、真夏のメランコリー
* * *
翌々日にもバイトに入り、さらにその次の日。
輝先輩に誘われて、夏休みに入って初めて彼と会うことになった。
「バイト?」
「うん」
ハンバーガーショップでランチを摂りながらバイトを始めたことを話すと、輝先輩は意外だと言いたげに目を小さく見開いた。
「どこで?」
「ビヨンドっていうファミレス」
「ああ、あそこか。前はよく家族で食べに行ったな。何店?」
興味津々な眼差しを向けてくる彼に、眉を小さく寄せてしまう。
「……言わない」
「なんでだよ」
「言ったら来そうだもん」
「バレたか。美波の制服姿、見たいんだけど」
「その発想、なんかオヤジくさい」
「なんだと?」
輝先輩が不本意そうに片眉を上げる。
私はつい噴き出しそうになりつつも、ポテトを摘まんだ。
「まぁいいや。ビヨンドってチェーン店だけど、一駅にそんなに何軒もないし。学校の近所か、美波の家の近くだろ?」
ずばり当てられて、噎せそうになる。
彼はその瞬間を見逃さず、ニヤリと笑った。