彼の素顔は甘くて危険すぎる

(ひまり視点)

翌日の放課後。
すっかり体調も戻り、学校生活も送れるようになった私は、放課後にいつものように彼の家に。
久しぶりに訪れたけれど、何一つ変わってないことに安堵した。

「寒くないか?」
「うん、大丈夫」

彼はエアコンはもちろんのこと、加湿器や床暖のスイッチも入れたようで、すぐに足下がじんわりと暖かくなって来た。

「仕事とか練習しないの?」
「別に急ぎなものはないから平気」
「……そうなんだぁ」

病み上がりだからと、床暖が効くリビングのソファー部分に通された。
普段ならブースに籠る彼が、珍しく一緒にリビングにいる。
こういう気遣いが本当に嬉しい。

「あ、そうだ。あのね?」
「ん?」
「色々聞きたいことがあって」
「……何?」

鞄の中からノートを取り出し準備万端。
彼を真っすぐ見据えて……。

「今から沢山質問するから正直に答えてね」
「……ん」
「好きな色は?好きな食べ物は?好きな楽器は?」
「黒と青、この間作ってくれた野菜のいっぱい入ってるスープのやつ、……ギターかな」
「野菜がいっぱい?……ミネストローネかな」
「あ、そうそう、そんな名前のやつ」
「好きな動物とかモチーフとかある?ロゴとかマークとか」
「……特には無いかな。あ、でも白い龍は好きかも。青龍とか赤龍はよく見かけるけど、白龍って意外と無いから」
「そうなんだぁ」

白龍……これは使えそうね。

「何、俺に興味湧いたの?」
「……そういうことにしておいて」
「何だよ」
「あとは、好きな景色とか目が惹かれる建物とか、思い出の場所みたいなところある?」
「難しいな、その質問。……強いて言うなら、アルカションかな」
「アルカ……ション?」

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