彼の素顔は甘くて危険すぎる
「チョコはお礼の品だったし、それ以外は誕生日のお祝いだったし。バレンタイン用にあげた物が無いように思うんだけど?」
よくよく考えてみれば、バレンタイン用のプレゼントをあげて無かった。
どれかをそれに該当させるというのもあるかもしれないけど。
何だか、ちょっと違う気もする。
すると、不破はひまりの顔に近づき、耳元にそっと呟く。
「俺のこと、好きって認めたじゃん」
「ッ?!」
「ちゅーしたし、お互いの気持ち確かめ合ったと思うけど?……違った?」
「んっ……」
思い出してしまった。
彼に言われて……。
だって、あんなにも濃厚で甘いキスをしたのは初めてで。
不破 聖という人物を好きだと認めた途端に気持ちが溢れ出したんだもん。
毎日のように彼の家に通っていても、出来るだけそうならないように距離を取ってる。
だって、『その先』『この先』という言葉がまだ怖くて。
好きな人とならいつかは……と思うけど。
まだ心の準備が出来てない。
キスだって、チュッと触れるだけならまだしも。
彼のキスはもっと濃密で蕩けてしまうような……。
「何、想像してんの?」
「ふぇっ?」
「めっちゃ可愛いッ」
「やっ……」
耳まで真っ赤だと思う。
顔から湯気が出てるんじゃないかと思うくらい顔が熱い。
彼に見られてるというのも相まって、完全に自滅した。
両手で顔を覆って、ソファーの上にあるクッションに顔を埋めた。
「埋める場所、違うだろっ」
「ん~んっ……」
腕を掴まれ、彼の胸に埋めさせられた。
もうっ、勘弁してよ……。