彼の素顔は甘くて危険すぎる
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4月中旬、昼休み。
昼ご飯を食べ終えた不破のスマホにひまりからの連絡が入る。
『美術展の制作に専念するため、暫く放課後も会えない』と。
画面に釘付けになる不破。
日中にひまりを視界に捉えられないだけでも耐えがたいのに、放課後も会えないだなんて拷問以外の何物でもない。
すぐさま『いつまで?』と返信したが、『納得のいく作品が出来るまで』と曖昧な答えが返って来た。
「厄払いでもするか」
無意識に心の声が駄々洩れした。
元々、恋愛に無関心だったひまりだから、不破の恋愛感情との温度差があるのは承知している。
けれど、お互いに想い合ってることを確かめたはずなのに、こんな風に簡単に割り切れる彼女に苛立ちが込み上げて来る。
分かってる。
先に惚れた方が負けなことくらい。
目に入れても痛くないほど溺愛してることも。
だからこそ、ひまりの全てを把握したい衝動に駆られて。
自分の知らない場所で彼女が自分以外のことに注力していることが耐えがたかった。
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4月下旬。
22時過ぎ、自宅のブースに籠りアルバム用の楽曲をアレンジする。
アコースティックバージョンであったり、英語バージョンだったり。
けれど、ひまりにここ数日まともに会えてないこともあり、なかなか捗らない。
エネルギーの源とも言えるひまり。
その彼女の笑顔不足で充電が今にも切れそうな不破は、彼女の愛用品の画材道具をじっと眺めていた。
「もう10日以上ここに来てないよな」
土日に会えるかと思っていたら、用事が入ってると言って先週末は会えなかった。
今週末は会えるだろうか?
「はぁ……」
無意識に溜息が漏れ出す。