彼の素顔は甘くて危険すぎる
3連休があっという間に終わってしまった。
今日と明日、2日間登校しなければならない。
体調不良で欠席しようかと何度も考えたけれど。
一瞬でも彼に会えるかもしれない。
そう思ったら、足が勝手に学校に向いていた。
クラスも違うし、校舎も違う。
数学の能力度別授業のクラス編成も彼と別のクラス。
テストの結果で振り分けられる数学のクラスは、不破くんのいる応用クラスと私のいる基本クラスと、更に基礎クラスがある。
私がもっと数学を頑張って彼と同じ応用クラスに入れたら、週に数回彼に堂々と会えるのに。
苦手な数学を幾ら頑張っても応用クラスには入れそうにない。
だから、せめて……。
登下校や移動教室の時、体育授業が校庭で行われてる時に窓からこっそり見るとか。
ほんの一瞬でも彼を見るために登校する。
成瀬 剣とは会いたくないけど、不破くんを一瞬でも見れるなら幾らでも我慢できる。
普段持ち歩いてるスマホ内の画像もUSBに移行してしまったから、こっそり眺めることも出来ない。
いつ成瀬くんにスマホ内をチェックされるか分からないから、アルバムに入れておくことも危険で。
『SëI』が他のアーティストのように動画サイトや公式サイトに写真や動画がアップされてたら、それをこっそり見て我慢できるけど。
彼は全てを非公開にしているから、登下校時も含めて学校では本人以外を見る以外、見ることが出来ない。
彼を見るのが、こんなにも大変だなんて。
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高熱でダウンした次の日の朝。
前日の夜に彼が自宅に来たと聞かされた。
よりによって、寝てる時に……。
だけど、僅かな望みは捨ててない。
彼がまだ私のことを少しでも気に留めてくれてるのだと。