彼の素顔は甘くて危険すぎる
ゆっくりと唇を離すと、何が起きてるのか分からないといった表情で、彼女は飛び起きた。
そして、窓際へと飛び移るようにして腰高の窓に張り付いた。
「なななな、なっ、何でいるのッ?!」
「………ひまりのお母さんが入れてくれた」
「あ、いや、そうじゃなくてっ!!どうして、ここにいるの?!」
「会いたいからに決まってるじゃん」
「っ……」
完全に起きたようだ。
そりゃあそうだよな。
あれだけのキスしたら、普通起きるよな。
キスの余韻を楽しむかのように、自身の濡れた唇を指先で拭うと。
俺の口元を見た彼女は両手で自身の口元を覆った。
まるで、『キスしちゃったじゃない!』みたいな驚いた表情で。
「キス、……した?」
「した」
「っ……、何で?」
「いいって言うから」
「は?……私、寝てたよね?」
「ちゃんと会話は出来たよ?」
「………」
パニック状態に陥ってる彼女。
けれど、そんな彼女も可愛いと思うあたり、俺相当惚れてるらしい。
「しちゃ……ダメだったの?」
「当たり前でしょっ!」
「何で?」
「何でって……、うちらもう……別れてるじゃない」
「俺は承諾した覚えはないけど?」
「っ……」
別れるつもりは微塵もない。
彼女が本気で別れたいと思ったとしても、簡単に承諾するつもりもないし。
そもそも、他人に言われたから別れるとか、ありえねぇっての。
部外者は引っ込んでろって。
「ひまりは、……別れたつもりだったのか?」
「………ん」
俺から視線を逸らした彼女。
不本意であってもそう言うしかないだろうけど。
でも、説得力がないっての!
「じゃあ、………これは何?」
「ッ?!………これは……」