彼の素顔は甘くて危険すぎる

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「えっ、じゃあ、もう脅されることは無いってこと?」
「ん」
「学校でも、不破くんに会える?」
「ん」
「ありがとッ!」

彼から示談が成立したと聞かされ、証拠にと書類が写メされたものを見せてくれた。
私の知らない所で、彼はちゃんと手続きをしてくれたようで。
そんなこと、微塵も匂わせなかったのに……。

彼の私への想いが凄く伝わった。
私なんて、ただ彼の言いなりになってただけなのに。

やっぱり頭のいい人の行動力って違うものなのね。
思いもつかなかったもん。

「惚れ直しただろ」
「うんっ!」
「イイ男だろ」
「うん!!」
「だったら、もう俺に嘘吐くんじゃねぇぞ?」
「……はいっ」

優しく髪を撫でられる。
口調は俺様だけど、ちゃんと私のことを考えてくれてるのが分かるから。

彼はいつだって、ここぞの時は助けてくれる。
イケメンでクールな王子様。
私にだけ甘いって知ってるもん。

「で」
「……で?」
「そろそろ限界なんだけど、俺」
「………何が?」

彼の指先が頭から肩へと移動し、更に降下してパジャマの襟元を掴んだ。
そこに視線を落とした私は……。

「キャッァア~ッ!!みみみっ、見ちゃダメッ!!」

パジャマから完全にブラが透けてるッ!!
昨夜暑くて寝れなくて、一晩中無心に絵を描いてたんだった。

肌掛布団で胸元を隠したけど、時すでに遅し。

「散々見せびらかしておいて、今さら見ないでとか、可愛すぎっ」
「わざとじゃないからっ!記憶から抹消して下さいっ」
「やだね」
「っ……」
「和解のお礼は?」
「……ふぇっ?!」
「ここも、……相当悩殺してんだけど?」
「ッ?!」

胸元に意識が集中してて、足下を覆うのを忘れていた。
完全に下着が見えそうなほど、太ももも露わになってんじゃんっ!!

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