彼の素顔は甘くて危険すぎる
翌夜の19時半過ぎ。
「ひまり~っ、また出かけるの?そんな格好して」
「うん、ちょっと友達に借りてたのを帰さないとならないから」
「寒いから暖かくしなさいよ?」
「うん。……行ってきます」
昨夜、21時前には現場に着いて、22時過ぎまで待ってみたけど、彼は現れなかった。
今日もトライする。
気になったら、納得するまで他のことが出来ないから。
ここ数日。
彼がイケメン王子なんじゃないかと思って、イケメン王子ではなく不破くんを描いてみてる。
同じサイズを描いて、隣にイケメン王子を並べて比較するけど……。
やっぱり、同一人物だと思えるほどに酷似してるから。
このモヤモヤが何なのかハッキリするまで諦めない!
***
結局、金土日と3日間張り込みしたけど現れなかった。
どこに行ったらあのイケメンに遭遇出来るのだろうか?
悶々と週が明けた月曜日の朝。
学校の下駄箱でお隣の席の不破くんを待ち伏せ。
別に告白しようとか、何かを聞き出そうとか言うんじゃないんだけど。
ただ単に、僅かでも情報を掻き集めようかと思って。
あ、来た。
いつも気怠そうに俯き加減で歩いて来る。
歩く姿は全くの別人なんだけど、脚の長さとストライドの幅と歩調が同じに見える。
それから、肩の位置や頭の大きさはピッタリなのに。
「おはよ」
「………」
いつもの無言挨拶。
無視されてるわけじゃないのに、最近イラっとする。
この間まではこの無言挨拶も安堵感があったはずなのに。
何でだろう?
不破くん、あなたの正体は何?
あぁ~~これが聞けたら悶々としないのに~~っ!