彼の素顔は甘くて危険すぎる
俺の可愛い彼女は、意外にもせっかちなのか。
答えはそんなに急ぐことないのに、何故かすぐに答えを出した。
すっげぇ、嬉しいんだけど。
めちゃくちゃ嬉しいんだけど。
この状況下で、そんなこと言われたら、制御出来るか?……俺。
ひまり、頼むよ~~。
そういうことは、せめて数日経ったくらいにボソッと言ってくれるくらいがちょうどいいのに。
ほらほら、どうすんだ?
上目遣いで見られてんぞ?
「不破くん」
「……ん?」
「そもそも、手順ってなーに?」
「……あっ」
そういうことか。
なるほどな。
うん、そこまで考えてなかったわ。
ひまりが恋愛初心者だというのは理解しているつもりだったけど。
そうか、そのパターンか。
彼女が口にした言葉の意味を、漸く理解した。
本質的な部分を彼女は理解していないという事実を。
そこを説明しなかった俺が悪いんだけど。
まさか、そのレベルだとは思ってもみなくて。
彼女に無理に考えてさせてしまったことを深く反省した。
誰しも、同じレベルではないということを。
ひまりの髪を優しく撫でる。
そして、ゆっくりと分かるように……。
「例えばさ、付き合うのも、手を繋ぐとかぎゅーするとか、その先にちゅーもあんだろ」
「……ん」
「それと同じで、するにしても、ムード?雰囲気っての?その気にさせるとかあるし。体もさ、最初からは当然無理があって。痛いってのは知ってるみたいだけど、それを出来る限り抑える為に時間をかけるっていうか、俺何言ってんだ?まぁ、要するに幾つかの段階を踏んだ上でそういうことをしないと、ひまりの体が悲鳴上げるってことだ」
「……何となく、分かった」