彼の素顔は甘くて危険すぎる
俺の言葉を一生懸命考えてくれてるだけで、満足。
今はそれだけで十分。
「ごめんね?」
「何で、謝んの?」
「だって、私、無知すぎるでしょ」
「だから、いいんじゃね?遊び慣れてる女には興味ない。ってか、引くから」
「……そういうもの?」
「そういうもの!」
頭をポンポンと優しく撫でる。
「こういうことはさ、焦る必要全くないから」
「………ん」
「それに」
「……ん?」
「ひまりの初めては、ちゃんと戴くつもりだから、俺」
「っ……」
肩をびくっと震わせるひまり。
百歩譲ったとしても、『初めて』は予約しておかないと。
ずっと我慢して来てんだから、それくらいはさせて貰わないと。
「話戻したら、怒る?」
「え?……戻すって?」
「手順の話」
「………」
ひーまーりー!!
何故、纏まった話を掘り返そうとする!!
ってか、分かったって言わなかったか?
「えっと、何が気になるんだ?」
「あのね」
「ん」
「手順を踏むのは分かったんだけど、具体的には何をするの?」
「え……」
それ、聞くか?
そこはあえて聞かないのがマナーというか。
あー、ひまりにはこういうのは通じないか。
だよな……。
「ごめんね?変なこと聞いたよね」
「あ、いや、……うん」
さて、どこから話すべきか。
どこまで話していいのやら。
困った。
マジで困った。
はぁ……と溜息が無意識に漏れ出した、その時。
「よくよく考えてみたんだけどね」
「ん?……ん」
「見るとか、触るとか、そういうこと?」
「フッ、………ん」
分かってんじゃん。
たぶん、分かってても明確ではなかっただけなのかもしれないけど。