彼の素顔は甘くて危険すぎる

「さぁ、何だろうね?」
「え?」

何だろうねと言われても……。
彼がわざわざ書いたのだから、何かある日なんだろうけど。

ソファーに座る彼が腕を伸ばして来た。
そして、楽しそうに私の体を閉じ込めるみたいに優しく抱き締める。

「計算してみ?」
「計算?」
「ん」

1492日を?
スマホをポケットから取り出し、計算機を立ち上げる。

それを彼は黙って見守っているけれど、私の肩に顎を乗せ笑みを溢している。

1年が365日だから、1492日を365日で割ると、ほぼ4年。
閏年があるから、その分がプラスされてるのと、更に30日が足されているっぽい。

ってことは、4年後の3月31日?

「4年後の3月31日?」
「正解」
「この日に何かあるの?」
「知りたい?」
「……ん」
「じゃあ、ちゅーして」
「えっ……?」

肩に顎を乗せていた彼は体を少し離して、わざとらしく目を瞑って口元をあからさまに突き出して来た。
頬ではなく、唇にキスしないとダメらしい。

仕方なく、唇を重ねた。
すると、待ってましたと言わんばかりに後ろ首をがっしりとホールドされ、啄められる。

与えられる甘い刺激と共に心臓がトクトクと早い鼓動で暴れ始めて。
何度も角度を変えて啄め、甘噛みされて。
彼のキスに酔いしれていると、キスの余韻を残しながらゆっくりと離れる唇。
もっと…と思ってしまうほどに溺れていると……。

「プロポーズするから、その日に」
「えっ?!」
「今から予約しとく。……覚えておいて」
「っ……」

4年後、大学を卒業したら……。

(まだ、高校も卒業してないのに、そんな先のことまで考えられないんだけど~~っ!!)

~FIN~

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