彼の素顔は甘くて危険すぎる

「不破が友達の話をするのはかなり珍しくて。元々、日本で高校に行く気が無かったのをうちの社長が説き伏せたくらいですから」
「……はぁ」
「そんな不破が、唯一橘さんの話はしてくれてたので、不破にとっては特別なんだと思います」
「えっ」
「文句言われたら私に言って下さい。私が対処しますから」
「………はい」
「では、送っておきますね。あっ、それと、刺激のあるものは喉によくないので避けて貰いたいのと、何か消化のいいものを届けて貰えますか?」
「消化のいいもの?」
「ご両親が先週アメリカに帰国してしまったので、多分ろくなものを食べてないと思うんです」
「………分かりました」
「また、何かありましたらご連絡下さい」
「はい」

電話を切って溜息が出る。

消化のいいものって何がいいだろ。
とりあえず、自宅に帰ってから考えるか。

***

自宅の冷蔵庫とパントリーを覗いて、食べれそうなものを探すが、目ぼしいものが見当たらない。
ネットで検索すると、やっぱりお粥が適してるらしい。

不破くんの家にお米とか食材があるかな?
先週までご両親がいたって言うからきっとあるだろうけど。
調味料とかどういうものがあるのか分からないし、自宅で作って持っていくのが無難かも。

「よし、パパっと作って持っていこう」

両親が小児科医ということもあって、料理はよくする。
休日も区の当番医をすることもあるから、小さい頃から自宅で一人留守番することも多かった。
稀に祖父母が来てくれることもあったけど、片道二時間ほどの距離に住んでるため、年に数回。

必然的に自活力は養われたようだ。

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